女性のからだに向き合う「月経不順」──忙しくても知っておきたい基礎知識

どんな病気か・主な症状

「月経不順」とは、生理(月経)の周期や出血の量・期間が一定せず、通常の範囲から外れている状態を指します。
一般的な月経周期は25〜38日で、出血は3〜7日程度が目安です。これよりも極端に短い・長い、または量が多すぎる・少なすぎる場合を月経異常と考えます。

代表的なタイプには:

  • 頻発(ひんぱつ)月経:24日以内の周期で繰り返す
  • 稀発(きはつ)月経:39日以上の周期で生理が来る
  • 無月経:3か月以上、生理がない
  • 過多月経:出血量が非常に多く、貧血を伴う
  • 過少月経:出血が極端に少ない

「いつものことだから」と放置してしまう女性も多いですが、背景にホルモン異常や子宮・卵巣の病気が隠れていることもあります。

原因

月経不順の原因は多岐にわたります。

  • ホルモンバランスの乱れ:ストレス、過労、睡眠不足、ダイエットなどで女性ホルモンの分泌が不安定になる
  • 思春期や更年期:生理周期が安定しにくい時期
  • 婦人科疾患:多嚢(たのう)胞性卵巣症候群(PCOS)、子宮筋腫、子宮内膜症、甲状腺の病気など
  • 体重の変化:急激なやせや肥満もホルモンに影響

特に、働く女性に多い「ストレスや不規則な生活」は月経不順の大きな要因です。

今できる対処法・予防法

まずは生活習慣を整えることが大切です。

  • 規則正しい睡眠:6〜8時間を目安に、睡眠リズムを整える
  • バランスのとれた食事:極端な食事制限は避け、鉄分やビタミン・ミネラルを十分に
  • 適度な運動:ストレス軽減とホルモンバランスの安定に役立つ
  • 過度なストレス対策:趣味やリラックス法を取り入れる

また、アプリなどを使って月経周期を記録することも、自分のリズムを把握するうえで有効です。

受診の目安

以下のような場合は、婦人科を受診することをおすすめします。

  • 3か月以上、生理が来ない
  • 出血量が極端に多く、貧血症状(立ちくらみ、疲労感)がある
  • 周期が毎回バラバラで予測がつかない
  • 強い下腹部痛や腰痛を伴う
  • 妊娠を希望しているのに、周期が安定しない

特に「無月経」が続く場合は、早期の治療が必要になることもあります。

検査方法・治療法

医療機関では、問診・基礎体温の確認・血液検査(ホルモンや甲状腺機能)・超音波検査などを行い、原因を探ります。

治療は原因によって異なりますが:

  • 生活習慣の改善
  • ホルモン療法(低用量ピルや黄体ホルモン製剤)
  • 基礎疾患の治療(甲状腺疾患、PCOSなど)
  • 漢方薬(当帰(とうき)芍薬散(しゃくやくさん)など体質に応じて処方)

などが行われます。

まとめ・アドバイス

月経不順は「よくあること」と軽く考えられがちですが、女性の健康状態を映す重要なサインでもあります。
仕事や家庭の忙しさから受診を先延ばしにしてしまいがちですが、早めに婦人科で相談することが安心につながります。

名古屋市内には婦人科を併設するクリニックや総合病院も多く、近年はオンラインで相談できる選択肢も広がっています。
「おかしいな」と思ったら、気軽に受診してみてください。

監修者
武藤 先生
武藤クリニック
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