「無月経」──月経が止まるサインを見逃さないで
どんな病気か・主な症状
「無月経」とは、一定の年齢に達しても月経が始まらない、または一度始まった月経が3か月以上止まってしまう状態を指します。
医学的には以下のように分類されます。
- 原発性無月経:18歳になっても初経(月経)が来ない状態
- 続発性無月経:それまであった月経が3か月以上停止した状態
「少し不規則だから大丈夫」と思い込みやすいですが、ホルモンバランスや生殖器の異常、生活習慣の乱れなど、背景にさまざまな要因が隠れていることがあります。
原因
無月経の原因は多岐にわたります。
原発性無月経の主な原因
- 染色体や遺伝的要因
- 子宮や膣の先天的な形成異常
- ホルモン分泌の異常
続発性無月経の主な原因
- 妊娠・授乳:最も多い生理的な原因
- 過度なストレスや体重変化:ダイエット、過労、摂食障害
- ホルモン異常:甲状腺疾患、下垂体腫瘍、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
- 更年期・早発閉経:40歳未満で卵巣機能が低下する場合もある
特に現代の働く女性では、過度なストレスや不規則な生活、過剰なダイエットによるホルモンバランスの乱れが原因となるケースが目立ちます。
今できる対処法・予防法
生活習慣の見直しが第一歩です。
- 栄養バランスの良い食事:急激なダイエットは避ける
- 十分な睡眠:ホルモン分泌のリズムを整える
- 適度な運動:過度なトレーニングは逆効果になることも
- ストレス対策:趣味やリラクゼーションを取り入れる
ただし、無月経が続く場合は「自然に戻るだろう」と自己判断せず、早めの受診が大切です。特に将来の妊娠や骨粗鬆症リスクに関わることもあります。
受診の目安
次のような場合は婦人科の受診を強くおすすめします。
- 18歳になっても月経が始まらない
- これまであった月経が3か月以上止まっている
- 急激な体重減少や過度の運動習慣がある
- 更年期前なのに1年以上生理がない
「忙しくて受診できない」と思うかもしれませんが、無月経は体のSOSサインです。
検査方法・治療法
医療機関では、問診・基礎体温測定・血液検査(女性ホルモン、甲状腺ホルモン、プロラクチンなど)・超音波検査・MRIなどで原因を調べます。
治療は原因によって異なります。
- ホルモン療法:低用量ピルやホルモン補充療法
- 基礎疾患の治療:甲状腺疾患やPCOSなどに応じた治療
- 生活習慣改善:栄養指導、ストレスマネジメント
また、妊娠を希望している場合は、排卵を促す治療を行うこともあります。
まとめ・アドバイス
無月経は「ただの生理不順」と見過ごされがちですが、女性の体が発している重要なサインです。
放置すると、妊娠への影響だけでなく、ホルモン不足による骨粗鬆症や心血管リスクにもつながることがあります。
名古屋市内には婦人科や女性外来を設ける医療機関があり、オンライン相談が可能なところも増えています。
「しばらく生理が来ていない」という方は、どうか一人で抱え込まず、早めに医師へ相談してください。